政府の経済成長戦略原案
政府が4月にまとめる経済成長戦略の原案が明らかになりました。「低炭素社会」の実現に向けてハイブリッド車など次世代自動車の購入を補助金で促すほか、介護で20万人の雇用を創出するために人件費の補助制度を盛り込んだりと、2011年度までの3年間に集中投資する方針を打ち出し、最大で60兆円の需要創造と失業率換算で3%に相当する200万人の雇用創出を目指すとの事です。
原案は世界最高水準の環境技術と社会システムを目指す「低炭素革命」、最先端の医療研究の活用や効率的な医療・介護サービスを実現する「健康長寿」、コンテンツなど日本らしいソフトパワーを生かす「底力発揮」の3つの柱で構成したとの事です。
低炭素革命では「太陽光・省エネ世界一プラン」と「エコカー世界最速普及プラン」を柱に据え、国際競争力を強化するとの事です。太陽光発電は20年ごろに現在の10倍としていた目標を20倍に引き上げ、家庭などから余剰分を買い取る制度のほか、公立の小中高校3万7千校に太陽光発電を設置します。また、電気自動車やハイブリッド車など次世代自動車への買い替え促進のため、優遇税制に加えて1台数十万円の補助金も出します。
また、資源ビジネスの拡大へ「和製水メジャー」を設立して世界の水市場に参入する構想も示しました。
介護の分野では20万人以上の雇用創出を目指し、介護ヘルパーなどの待遇を改善するため、事業者に職員一人当たり数万円の人件費を補助し、4月の介護報酬改定で報酬全体は3%増えますが、補助制度も活用して更に給与を上積みするとの事です。
また、全国の耕作放棄地のうち四分の一を今後3年で解消するため、自治体などが農地を借り上げ株式会社などに貸し出す制度を導入したり、映画やアニメなどコンテンツ産業の海外展開を支援するファンドの創設も盛り込みました。
どんなに素晴らしい成長戦略もタイミングが大事です。兎に角スピードを持って、しかも確実に実行してもらいたいものです。
そうすれば、米メディア・ニューズウィーク誌に「アタマのない東京」という見出しで「日本はビジネス、文化、テクノロジーの主要勢力なのに、バナナ共和国(banana republic)のように運営されている」と指摘されたり、ワシントン・ポスト誌に「汚職と無能は日本政治の二大災難」と書かれたりと、日本の政治家が指導力不足を批判されることはないでしょう。